「この年齢で正社員は無理ですよね?」への回答:即戦力かどうかによる
こんにちは。ケイリンです。
中高年の方の就職相談の中で非常に多い質問が、「この年齢で正社員は無理ですよね?」というものです。「この年齢」は、40代〜50代前半まで様々です。いつも私がお伝えするのは、「無理ではありませんが、簡単ではありません」です。なぜなら、現在多くの企業・組織が60歳定年です。採用そして仕事を覚えて一人前になってもらうためにはコストがかかりますので、採用側は、せっかく採用した人材には長く活躍してもらいたいものです。よって、定年に近い年齢であればあるほど、正社員採用は難しいということになります。この年代は特に「即戦力」を求められるので、今回応募する求人の業界・仕事内容に精通している、実績がある場合には、正社員採用されやすいということになります。
「この年齢で正社員は無理ですよね?」への回答:職種による
正社員になれるかは、どの職種を希望するかにもよります。これは、要は競争率の問題で、職種による有効求人倍率を見ると明らかです。
厚生労働省が毎月発表している「一般職業紹介状況」の令和4年8月分を見てみると、
令和4年8月の全職種での有効求人倍率は1.32倍、つまり、100人の求職者(仕事を探している人)に132件の仕事があるということです。
しかしながら、職種別で見てみると、多くの方が希望する「事務的職業」の有効求人倍率は0.42倍、つまり100人の求職者に対して42件の求人しかない、ということになります。
(厚生労働省 一般職業紹介状況 参考統計表より)
条件のよい求人については、1件の求人に対して数十人応募することも珍しくありません。よって、同じようなスキル・経験のある求職者が複数人応募した場合は、より年齢の若い人を採用することになりがちです。もし、事務職以外にやってもいいなと思える職種があり、そしてその職種のほうが有効求人倍率が高い(=競争率低い)のであれば、その職種への応募を検討してみることをお勧めします。(例えば、物流関係の事業所で内勤事務→配送ドライバー職、等)
正社員として就職するには
これまでの内容をまとめると、正社員として就職するなら「即戦力となれる仕事を選ぶ」か「正社員として採用されやすい職種を選ぶ」となります。しかしながら、いくら正社員になりやすいからといって、やりたくない仕事を選ぶのはおかしな話です。ではどうすればよいか?以下、私の経験から試してみる価値のある方法をお伝えします。ただし、これは必ず正社員として就職できることを保証するものではないことを予めご了承ください。
- 多数応募する:自分の希望条件に100%合致する求人に絞るのではなく、6-7割OKなら応募してみてください。その際、志望動機はいかにも使いまわしのような文章にならないよう注意してください。
- 志望動機を工夫する:この企業でこの仕事をやりたいという意欲を示してください。ただ、「やりたい」という意欲ではなく、この企業が扱う商品についての個人的な体験からくるものや想い(ポジティブな内容であること)からの働きたい意欲が示せると良いです。自社製品やサービスへの強いポジティブな想いを持つ求職者には、採用担当者は興味を持ち「会ってみたい」と思う確率が高くなります。
- 写真を工夫する:履歴書の顔写真の印象は重要です。表情が暗ければ、服装(白シャツにする)や髪型を工夫してみてください。
- 自己PRを工夫する:仕事経験の棚卸しをした上で自分の強みを明確にしたら、その強みが具体的に応募する仕事・その職場でどんな価値をもたらすのか(あなたを雇ったらこの企業にどんないいことがあるか)まで落とし込んでみましょう。
- 直接面接の求人を選ぶ:事務系の職種だと少ないですが、人柄が良いので実際に会うととても感じが良いのに書類選考が通らない方にはお勧めです。
でも正社員がすべてではない
ここまで書いてきてナンですが、正社員として就職すればいいというものでもないと感じます。多くの方が、正社員は安定していると考えますが、果たして現状はそうでしょうか。現在は、終身雇用が保証されているとは言い難く、賞与や退職金がない中小企業も少なくありません。また、企業自体がなくなる(倒産、事業所閉鎖、日本撤退)こともあり得ます。正社員という雇用形態にこだわるあまり、ハラスメントや時代錯誤の慣習や長時間労働が常態化しているような企業に入らないようにしてください。
就職に何を求めるか?
最終的には、次の仕事に何を求めるかだと思います。経済面を重視するのであれば、派遣就業のほうが同じ仕事でも単価が高いかもしれません。自己実現(やりたいと思っていた仕事に挑戦する等)であれば、雇用形態にこだわらず、まずその職種に就くことを優先したほうがいいでしょう。やはり正社員として働きたい場合は、今回お話したことをぜひ試してみてください。自身の価値観と求めるものに照らし合わせて、再就職の計画を立て、ご自身が満足できる就職をしていただきたいと思います。